相続した実家の空き家。「処分したいけれど、売るのか貸すのか解体するのか、何が自分に合っているのか分からない」という声をよく聞きます。方法によって、かかる費用も時間も、向いている物件もまるで違います。
この記事では、空き家の処分方法を大きく5つに整理し、それぞれの向き不向き・メリット・デメリット・費用と期間の目安を比較します。まずは早見表で全体像をつかんでから、気になる方法を詳しく見ていきましょう。
なお、放置を続けると税負担や行政措置のリスクが高まります。その点が気になる方は放置のリスクもあわせてご確認ください。
空き家の処分方法5つ早見比較

5つの方法は、ざっくり言うと「高く売りたいなら仲介」「早く確実に手放したいなら買取」「資産として残すなら賃貸」「建物に価値がなければ解体」「引き継ぎたくないなら相続放棄」という整理になります。以下で1つずつ見ていきます。
方法1:仲介で売却する

📖 運営者の実体験:仲介・空き家バンクで2年売れなかった実家を手放した全記録【体験談】
不動産会社に依頼し、一般の買い手を市場で探してもらう、もっとも一般的な方法です。
- 向いている物件・人:立地が良く市場で需要がある物件。時間に余裕があり、できるだけ高く売りたい人。
- 費用・期間の目安:売却までおおむね3〜6か月(需要の低い物件は年単位になることも)。仲介手数料は法定上限が「売却価格×3%+6万円(税別)」で、3,000万円なら約96万円です(出典:HOME4U、おうちねっと)。
市場価格(相場)で売れる可能性があります。
買い手が見つかるまで時間がかかります。内覧対応が必要で、売却後に契約不適合責任(引き渡した物件に欠陥があった場合の売主の責任)を負う可能性もあります。
方法2:買取で売却する

🏠 買取業者を比較する(訳あり・遠方・事故物件対応)
- 訳あり物件買取センター(一都三県・LIXIL加盟店)
- ラクウル(全国・遠方の相続空き家に強い)
- ワケガイ(共有持分・権利トラブルに強い)
- 成仏不動産(事故物件専門)
- 業者選びのポイントを確認する →
不動産会社(買取業者)が、自ら買い主となって直接買い取る方法です。
- 向いている物件・人:早く現金化したい人。周囲に知られず売りたい人。市場で売りにくい物件(築古・遠方・訳ありなど)の所有者。
- 費用・期間の目安:現金化まで数日〜約1か月。
現金化が早く、内覧も不要です。仲介手数料がかからず、契約不適合責任が免責されることが一般的で、売主のリスクが下がります。
価格が市場相場より下がります。買取価格は市場相場のおおむね7〜8割が一般的な目安です(物件の状態により幅があり、空き家・訳あり物件ではさらに下がることもあります/出典:HOME4U、イエコン)。
仲介と買取は、価格と時間がちょうど逆の関係になります。どちらが自分に合うか迷う方は、違いを整理した仲介と買取の違いで詳しく比較しています。
方法3:賃貸に出す

売らずに貸し出し、家賃収入を得る方法です。資産そのものは手元に残ります。
- 向いている物件・人:築年数が比較的浅く、大きな修繕なしで人が住める物件。駅近など生活利便性の高い立地。資産を手放したくない人。
- 費用の目安:貸し出す前のリフォーム費用がかかる場合があります。部分的なリフォームは数十万円〜500万円、全面リノベーションは戸建てで最大2,000万円が目安です(物件・範囲により大きく変動/出典:オカムラホーム、リショップナビ)。
継続的な家賃収入が得られ、人が住むことで建物の劣化を抑えられます。
空室リスクがあります(戸建ては1件空けば収入はゼロです)。管理の手間もかかります。
方法4:解体して更地で売る・活用する

老朽化した建物を解体し、更地として売却したり活用したりする方法です。
- 向いている物件・人:建物の価値がなく、土地に需要がある場合。老朽化が著しく倒壊・管理リスクがある物件。
更地にすると買い手が住むイメージを持ちやすく、買い手がつきやすくなる場合があります。
解体費用が先に出ていきます。また、更地にすると住宅用地特例(土地の固定資産税の軽減)が外れ、土地の税負担が上がる点に注意が必要です。
解体費用の目安

解体費用は構造や規模、立地条件(重機が入りにくい狭い道・密集地は手作業が増えコスト増)で大きく変わります。あくまで目安として、構造別の概算は次のとおりです(出典:SUUMO)。
| 構造 | 坪単価の目安 | 30坪 | 40坪 | 50坪 |
| 木造 | 3〜5万円/坪 | 90〜150万 | 120〜200万 | 150〜250万 |
| 鉄骨造 | 4〜6万円/坪 | 120〜180万 | 160〜240万 | 200〜300万 |
| 鉄筋コンクリート造(RC) | 6〜8万円/坪 | 180〜240万 | 240〜320万 | 300〜400万 |
木造30坪程度の戸建てなら、約90万〜180万円が一つの目安です(メディアにより幅があり、120万〜180万円とする情報もあります/出典:SUUMO、空き家パス)。これに残置物の処分やアスベスト除去などの付帯費用が上乗せされることもあります。
なお、多くの自治体が空き家の解体補助金制度を設けています。補助額は30万〜100万円程度、解体費用の3分の1〜2分の1を上限とするケースが一般的です(要件は自治体ごとに異なるため、必ず物件所在地の自治体に確認してください/出典:ワケガイ、ファンズ不動産マガジン)。
方法5:相続放棄する

家庭裁判所で相続を放棄し、空き家を含む遺産を一切引き継がない方法です。原則として、相続の開始を知ってから3か月以内に手続きする必要があります。
- 向いている物件・人:負債のほうが多い場合。処分困難な空き家を引き継ぎたくない人。
他の相続人の同意なしに、自分の意思だけで手続きできます。
一部だけの放棄はできません。放棄すると、現金・有価証券などプラスの財産もすべて引き継げなくなります。
相続放棄をしても管理(保存)義務が残るケースがあるのです。
2023年(令和5年)4月施行の改正民法940条により、保存義務を負うのは「放棄の時に相続財産を現に占有している人」に限定されました。被相続人と同居していたなどで空き家を現に占有していた場合は、相続人または相続財産清算人に引き渡すまで、その財産を保存する義務が残ります(出典:弁護士法人たちばな総合法律事務所)。「放棄すれば一切関係なくなる」とは限らない、と覚えておきましょう。
補足:そのほかの選択肢

5つの主な方法のほかにも、状況によって検討できる選択肢があります。
空き家バンク

自治体が運営する空き家情報サイトです。無料で掲載でき、不動産会社が扱わないような低需要の物件も載せられます。成約時に自治体から補助金・助成金を受けられるケースもあります。ただし、買い手がすぐ見つかるとは限らず、時間がかかる傾向があります(出典:長谷工の仲介、HOME4U)。
相続土地国庫帰属制度

相続した土地を国に引き取ってもらう制度で、2023年4月に始まりました。更地が原則で、建物や工作物が残っていると対象外となり、撤去が必要です。費用は、審査手数料が土地1筆あたり14,000円、負担金は原則20万円です(宅地・農地・森林など区分や条件により異なります/出典:政府広報オンライン、法務省)。建物がある空き家は、解体後に検討する流れになります。
どの方法を選べばいい?

立地や状態が良く時間に余裕があるなら「仲介」、早く確実に手放したいなら「買取」、人が住める状態で資産を残したいなら「賃貸」、建物に価値がなく土地に需要があるなら「解体」、負債が多く引き継ぎたくないなら「相続放棄」が、まずの目安です。実際には複数の方法を比較し、見積もりや査定を取って判断するのが安心です。
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