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空き家を売ったら3,000万円特別控除が使える?相続後の遺産整理・売却税控除の知識を解説

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親から相続した実家を売ったのに、譲渡所得税が予想以上に高くてびっくりした——そんな声をよく聞きます。私自身も実家の空き家を手放した経験があり、税金のしくみを知らないまま動くと損をすると痛感しました。

相続した空き家を売る際に使える強力な特例が「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」です。要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除でき、税負担を大きく減らせます。ただし要件が細かく、見落としがちな落とし穴もあります。

この記事では、7つの要件・申請手順・2024年の改正ポイントをわかりやすく解説します。

そもそも「空き家の3,000万円控除」とは?

そもそも「空き家の3,000万円控除」とは?①昭和56年5月31日以前の建築が条件②相続開始から3年以内に売却③売却代金が1億円以下であること④耐震改修または取壊しが必要

正式名称は「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(国税庁 タックスアンサー No.3306)。相続した実家を売却するとき、譲渡所得(売却益)から最大3,000万円を差し引いて税金を計算できる制度です。

制度のポイント

  • 控除額:最大3,000万円(相続人が3人以上の場合は2,000万円/2024年〜)
  • 適用期限:2027年12月31日までの譲渡
  • 空き家を売った利益がこの控除内に収まれば、譲渡所得税がゼロになるケースも

たとえば、相続した実家を2,500万円で売却し、取得費・譲渡費用を引いた譲渡所得が1,800万円だったとします。3,000万円の控除があれば、この1,800万円が控除の範囲内に収まり、譲渡所得税・住民税ともに課税ゼロになります。

7つの要件すべてに当てはまる必要があります

この特例は要件が多く、1つでも外れると適用できません。下の図でご自身の物件が当てはまるか確認してください。

3,000万円特別控除 被相続人居住用財産の譲渡所得 ― 全7要件チェック ① 建築年:昭和56年5月31日以前 旧耐震基準以前の建物が対象。登記簿謄本で確認 ② 区分所有でない(マンション等は原則対象外) 一戸建てが中心。分譲マンションは適用不可 ③ 被相続人が相続直前まで一人で居住 同居家族がいた家屋は対象外になり得る ④ 相続開始から3年経過年の12月31日までに売却 特例の期限は2027年12月31日(延長済み) ⑤ 売却代金が1億円以下 共有の場合は各自の持分額で判定(複数回は合算) ⑥ 相続〜売却まで空き家のまま(未使用) 事業用・貸付用・居住用に使うと対象外 ⑦ 耐震基準適合 or 解体して売却 2024年〜買主が改修・解体する場合も対象に拡大 ① ~ ⑦ すべて該当 → 特別控除の適用対象 出典:国税庁 No.3306 / 国土交通省

① 昭和56年5月31日以前に建築された

旧耐震基準で建てられた建物が対象です。建築年は登記簿謄本(登記事項証明書)の「新築年月日」で確認できます。昭和56年6月1日以降に建てられた建物は対象外です。

② 区分所有登記がされていない(マンション等は原則対象外)

分譲マンションのように「区分所有建物」として登記されている建物は原則対象外です。一戸建ての実家が主な対象となります。

③ 相続直前まで被相続人が一人で居住していた

同居家族がいた家屋は対象外になり得ます。被相続人(亡くなった方)が一人暮らしをしていた家屋が主な対象です。なお、要介護認定を受けて老人ホーム等に入居していた場合でも、一定の要件を満たせば特例が使える場合があります(国税庁 No.3307)。

④ 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却

わかりにくい表現ですが、たとえば2023年3月に相続が発生した場合、「3年を経過する日」は2026年3月、「その日が属する年の12月31日」は2026年12月31日が期限となります。また、特例そのものの適用期限は2027年12月31日までの譲渡です。

⑤ 売却代金が1億円以下

売却価格が1億円を超えると適用外です。共有物件の場合は共有者全員の売却代金を合算して判定します。複数回に分けて売却した場合も合算されます。

⑥ 相続から売却まで、空き家のまま使われていない

相続後に事業用・貸付用・居住用として使ってしまうと対象外です。空き家のまま管理だけしている状態であれば問題ありません。

⑦ 耐震基準に適合している、または解体して更地で売る

旧耐震基準の建物をそのまま売る場合、耐震改修を行って耐震基準適合証明を取得するか、解体して更地で売る必要があります。2024年1月1日以降の譲渡では、買主が譲渡後に耐震改修または解体を行う場合も適用対象に拡大されました。

2024年の改正で変わった2つのポイント

⚡ 2024年(令和6年)1月1日以降の改正

  1. 相続人が3人以上の場合、控除額が2,000万円に縮小(従来は全員3,000万円)
  2. 買主が改修・解体する場合も特例対象に(売主側で完了していなくても可)

改正①は、複数の相続人で実家を相続した場合に注意が必要です。たとえば兄弟3人で相続した場合、各人の控除上限が3,000万円から2,000万円になります。一方、相続人が1〜2人なら従来どおり3,000万円の控除が使えます。

改正②は買主への負担転嫁を認める内容で、売主は耐震改修・解体費用を負担せずに特例を使いやすくなりました(ただし一定要件あり)。

節税効果のシミュレーション

ケース 譲渡所得 控除なし 控除あり
売却益1,000万円(相続人1人) 1,000万円 約200万円 0円
売却益2,500万円(相続人1人) 2,500万円 約500万円 0円
売却益4,000万円(相続人3人) 4,000万円 約800万円 約40万円

※所有期間5年超(長期譲渡所得)の場合、税率は所得税15%+住民税5%。計算は概算。

申請手順:確定申告と「確認書」が必要

この特例を使うには確定申告が必須です。売却した翌年の2月16日〜3月15日の確定申告期間に申告します。特例は自動適用されないため、申告しなければ控除は受けられません。

確定申告の際、通常の書類に加えて「被相続人居住用家屋等確認書」を添付する必要があります。これは物件所在地の市区町村役場が発行する書類で、申請から取得まで時間がかかることがあります。売却後、早めに問い合わせることをお勧めします。

確定申告に必要な主な書類

  • 譲渡所得の内訳書
  • 売買契約書のコピー
  • 登記事項証明書(建物の建築年確認)
  • 被相続人居住用家屋等確認書(市区町村が発行)
  • 耐震基準適合証明書 or 解体後の状況確認書類

よくある誤解・Q&A

よくある誤解・Q&A①「指定で即6倍」は誤り(勧告が要件)②6倍は理論値・実際は3〜4倍が多い③「過料」は行政罰で「罰金」とは別物④指定前の自主的な改善が最善

Q. マンションを相続したけど使える?

原則として対象外です。分譲マンションは「区分所有建物」として登記されているため、要件②に該当しません。一戸建ての相続実家が主な対象です。

Q. 親が老人ホームに入居していた場合は?

要介護認定・要支援認定を受けて老人ホーム等に入居していた場合、相続直前に被相続人が「一人で居住」していなくても、一定の要件を満たせば特例が使える場合があります(国税庁 No.3307)。詳しくは税理士または税務署にご確認ください。

Q. 相続してから賃貸に出してしまった場合は?

対象外になります。要件⑥の「空き家のまま使われていない」を満たさなくなるためです。賃貸に出す前に売却するか、最初から売却前提で空き家管理することが重要です。

Q. 3,000万円控除と住宅ローン控除は両方使える?

この特例は売却側の税優遇です。住宅ローン控除は購入した不動産に使うもので制度が異なります。売却する相続物件についてはこの空き家特例、新たに自分が住む家を購入する場合に住宅ローン控除と、それぞれ別の税制として適用されます(ただし同一年に両方使う場合の制約もあるため、税理士に確認を)。

まとめ:7要件の確認と早めの申請準備を

まとめ:押さえるポイント①控除・特例は要件が厳格②期限内の売却を優先して計画③税理士へ早めに相談④申告書類を漏れなく準備

空き家の3,000万円特別控除は、要件を満たせば数百万〜数千万円の税負担を軽減できる強力な制度です。ただし要件が細かく、確定申告や「確認書」の取得手続きも必要です。

売却を検討している方は、まず7要件に当てはまるか確認し、早めに税理士や税務署に相談することをお勧めします。また、3年以内という期限があるため、相続後に時間が経過してからでは使えなくなる点にもご注意ください。